活性酸素、活性酸素種(Reactive Oxygen Species: ROS)
ROS は,
心血管系,単球,白血球等の NADPH oxidase,脱共役状態の内皮型一酸化窒素(NO)産生酵素(eNOS),ミトコンドリア等より生成され,
細胞膜の脂質を過酸化して4-hydroxynonenal (HNE),malonylaldehyde等の過酸化脂質を生成し,
これが蛋白質のCys, His 残基と結合し,その機能を傷害する [1]
ミトコンドリアが呼吸からATPを産出する。
その過程で酸素の95%がエネルギーとなり、残り1〜3%が活性酸素となる。
体内の抗酸化能力が低下すると活性酸素除去能力が低下して酸化ストレスとなる。
酸化ストレスは、細胞の老化、疾病の原因となる。[2]
ミトコンドリア
ミトコンドリアは、DNAの修復能力が低いため活性酸素などの酸化ストレスによりDNAが損傷されやすい。
ミトコンドリアのDNAが損傷されるとATPの生成ができなくなり、結果としてエネルギー生成できなくなる。
ミトコンドリア(mitochondrion、複数形: mitochondria)は真核生物の細胞小器官であり、糸粒体(しりゅうたい)とも呼ばれる。
二重の生体膜からなり、独自のDNA(ミトコンドリアDNA=mtDNA)を持ち、分裂、増殖する。
mtDNAはATP合成以外の生命現象にも関与する。酸素呼吸(好気呼吸)の場として知られている。
また、細胞のアポトーシスにおいても重要な役割を担っている。mtDNAとその遺伝子産物は一部が細胞表面にも局在し突然変異は自然免疫系が特異的に排除する。
ヒトにおいては、肝臓、腎臓、筋肉、脳などの代謝の活発な細胞に数百、数千個のミトコンドリアが存在し、細胞質の約40%を占めている。平均では1細胞中に300-400個のミトコンドリアが存在し、全身で体重の10%を占めている。ヤヌスグリーンによって青緑色に染色される。
酸化ストレス
虎ノ門病院で1985年から2005年の20年間のデータで酸化ストレスとメタボリックシンドロームの関連が示唆された。
酸化ストレスとは、体内の酸化還元のバランスが崩れて酸化作用が優位担った状態。
酸化ストレスには活性酸素種(ROS)が関与し、それらはミトコンドリアや呼吸系で産出する。
酸化ストレスは糖尿病、腎臓病、動脈硬化、非アルコール性脂肪性肝炎などに関与する。
特に膵臓(すいぞう)は酸化ストレスに対する抵抗性が弱くその結果、腎臓からのインスリン不足となり高血糖からの糖尿病とつながる。
肌に対しては活性酸素により酸化した細胞が新陳代謝の低下をおこし、コラーゲンの生成不良、肌のターンオーバー期間の乱れ、メラミンの蓄積などを起こす。
アルツハイマーについても糖の代謝や酸化ストレスが関与していることが指摘されている。
疲労の原因としては酸化ストレスが疲労因子のFFタンパク質を増加させる。
・根本的な解決方法
活性酸素に対して外部から電子を与えることが根本的な解決方法となる。
出典:
・酸化ストレスは、がん、糖尿病、高血圧、動脈硬化などの生活習慣病のほか、心疾患、消化器疾患、呼吸器疾患、腎疾患、神経疾患などの疾患と深く関連している。
・酸化ストレスを抑制できれば、肥満であっても健康的でいられ、糖尿病などを予防・改善できる可能性がある。大阪大学
・脳組織は、特に酸化ストレスの影響を受けやすい。大里研究所
・酸化ストレスが糖尿病を引き起こすメカニズムを解明、東北大学
[1] 睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Sy
ndrome, SAS)に酸化ストレスが関与
・ミトコンドリア病は,確立した治療法のない難治性疾患である.
[2]東邦大学
https://www.toho-u.ac.jp/sci/bio/column/0790.html
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